残念な上司への対応

 残念な上司はいろいろな切り口があるので一概に定義付けはできません。そこでここでは、仕事をできない、しないというところに視点をおいて、残念な上司の一つの特性を見てみます。この視点の他に、立ち居、振る舞いや、言動及び性格等から、残念な上司のタイプを数種類に区分することができます。生息形態から言えば、上しか見てないヒラメ、虎の威を借りて叫んでばかりのフォックスピッツ、意識してそうしているのか意識しなくてそうなのか分らないけれど仕事をしないことを優先する怠け者等です。なんとなく、分かるような気がするでしょう。ここでは、残念な上司を理解しやすくするために独善的に分類した後、接し方等についてご提言をしていきます。 

1 仕事ができない残念な上司の分類

(1)仕事をしようとしない上司

  ア 自分の仕事だという意識がない!

  イ 仕事をする気力がない!(したくない!)

  ウ 頭が悪くてするべきことが解らない!

(2)仕事をしようにもできない上司 

  ア 他の何かに気を取られて、手につかない! 

  イ 不器用で仕事の要領が悪い!

2 あなたへの共通的かつ白紙的な御提言!

(1)残念な上司を変えられないことに悩み続けないこと!

 上司は、部下の意見に従って自分を変えることはありません。部下でさえ、上司の人柄や見識に応じて、態度を使い分けているはずです。心から尊敬できる・信頼できる上司なら素直に聞くかもしれませんが、そうでない人なら、仕事上の内容に限って少しだけ聞くふりをしているだけでしょう。これが、部下から上司への意見となれば、その上司の人間性が素晴らしく、しかもその部下の進言内容が極めて適切な場合は聞き入れてもらえるでしょうが、恐らく普通は、職務上の要望についてのみ向き合ってくれるくらいです。ましてや、その上司の人間性、性格、仕事のやり方等について変えてくれないだろうかと頼んでみたところで、一蹴されるか、残念な上司なら返り討ちにあうだけです。基本、人間はその本人が変わろうとしない限り、変わりません。聞く耳を持たない残念な上司なら絶対に変わりません。それなのに、「こうあってほしい。こうしてほしい。こうしないでほしい。」と実現不可能なことに悩んでいることが多くありませんか?できないことに悩み続けるなんて自分の心を傷つけるだけで全く意味がありません。なので、腹を立てずに、残念な上司はそんな人なのだと思って仕事仲間と仕事を進めることに専念しましょう。そして、上司か自分が配置変更になるのを待てばいいのです。

 ただし、これがパワハラやセクハラの場合は心を傷つける前に我慢せずに担当部署に申し出ることを進めます。更に一つ上の上司に、人間性を見て適切だと判断すれば、相談することは大いにありです。否、すべきです。もし周りがすべて役に立たないと思える場合は、我慢し続けて心療内科に薬漬けにされ搾取対象にされる前に、腹を決めて、残念な上司と対決することを進めます。上司のために自分がおかしくなることはないのです。悪いのは相手なのですから。それでも、残念な上司は受け付けないでしょうから、それまでの非道三昧を記録したものをもって法務相談や関係者へのリークを行えばいいのです。それまで誠実に働いていた実績と法廷闘争になっても勝てるだけの証拠は記録しておく必要はありますよ。ある知人が、毎日殆ど眠る時間がないような仕事が続いて、これ以上は無理、心身を壊すと思ったことがあり、「これ以上は無理だから従えません。」と言って、会議の場から退室したことがあります。でも、次の朝、相手の顔を立てるために詫びに行きましたら、左遷なしでした。(笑)

(2)残念な上司には腹を立てないこと!

 以前にもお話ししたように、そもそも残念な上司は、性格、能力、意識に問題があるのだから、あなたが腹を立てたり悩んだりしたところで、馬耳東風、蛙の面になんとやらなんです。無駄です!自分の心が傷つくだけですから止めましょう。では、どのようにして心の安定を確保すればよいのか? あなた自身がその仕事に対して、あるいは通して、「誇り、自信、充実」を感じることができればいいのです。上司等に認められたいものですが、残念な方からのそれは不要です。自分がしている仕事は何かの役に必ず立っており、自分がやっていることは正しいと感じられ、その仕事そのものやその成果に充実感をもてるということが大切なのです。これを感じることができれば残念な上司など全く気にすることなく仕事は続けられます。しかし、残念な上司は往々にしてこれを感じられなくさせてしまうものです。感謝の言葉は全くない上に、お前は何も役に立っていないとか、お前のやっていることに意味があるのかとか、そして持ち前の嫌悪感等、嫌なことばかりを感じさせるものなのです。でも、こんな嫌な気持ちに縛られないことです。

 だから、こんな気持ちから超然として自分というものを感じればよいのです。残念な上司の行動に会っても、あなたや上司の視点から更に上の、目線で確認するのです。そうですね。神様の目線から見ると言うことになるかもしれません。昔から、神様は見ているとか御天道様は見ていると言いますよね。どんな視点でみているのかは確言できませんが、誰が見ても正しいと言える価値観を持っておられるということは確かでしょう。あなたにもあるでしょう?「そこに愛はあるか?」と問われて「はい!」と答えられれば、まず合格ではないでしょうか。この大切な価値観を基準に、自分の仕事の内容、やり方、成果を評価するのです。そこに確かに愛があるのなら、あなたの感じる「誇り、自信、充実」は、だれが何と言おうと存在するのです。誰にも気にすることなく、やり続ければよいのです。この絶対に正しい行いを妨害している残念な方は、必ず、試練がやって来ますから、気にしないで放っておきましょう。『裁きは人の範疇にあらず!でも、神様は見ていますから!』くらいの気持ちを持って、心の負担をなくしましょう!

(3)残念な上司とは喧嘩をしないこと!

 先ほど、ある知人が毎日殆ど眠る時間がないような仕事を続けさせられ、これ以上は無理、身体を壊すと思い、「これ以上は無理!やれない。」と言って、会議の場から退室したことがありますとお話ししましたが、あくまでこれは自分自身の心身を守るために行う最後の手段です。以前にもお話ししたように、そもそも残念な上司は、性格、能力、意識に問題があるのですから、自分の興味がある範囲内のことで、しかもできる範囲のこと、そして自分の利益になること以外は、聞く耳を持たないし、理解してもらおうと情熱を傾注したところで煙たがられるだけ、しかも正論を強調すればするほど、うざい感を増幅し、やがては足下をすくわれる羽目になってしまいます。ここに至っては、貴方は、既に、ケツまくりの寸前の状況でしょう。でも、何をしようが理解できないのですから、喧嘩しても自分が損をするだけで、全く無駄です。「本当にこんなにも正しく、皆が喜ぶことなのに何故反対するのか?」と口論しても、反対する理由が分からず終いになることが多々あり、気まずい思いをするものです。

 では、そこに至らないようにするにはどうすればよいのでしょうか? やはり、①そんな人とは関わらないこと ②上手に立ち回ることでしょう。先に述べたような上司なので、基本的に関わりを持ちたくない人が多いものです。そんな方には、こちらから関わらなければよいのです。積極的に関わろうとして、行為の押し売りと思われ問題を起こすくらいなら、必要な時だけ電子決済をいただくくらいの感じがいいのです。しかし、これは自分ではできないと思えることや、やったら自分の利益にならないどころか不利益なると思う人からは猛烈な反発を受けるでしょうから、上手に立ち回ることが必要です。これは上司に出張ってもらうようなことではないから、自分たちでやっておくし、その成果は回り回って貴方にこのようなよいことが巡ってくると思わせればよいのです。基本的に、残念な上司は頭も性格もが悪いですから、仕事には関わってもらわない方が世のため人のためなのです。

 では、なぜそのような人が上司になるのかって? それは、つまらないコネやその社会のしがらみによる場合が殆どです。○○部長の○○だとか。もと○×取締役の○○だとかですね。見渡してみて、そんな上司ばかりなら、そこはやがて沈没しますから、早期離脱も検討しましょう!

(4)ピンチはチャンスに変えること! 

 この言葉は、度々耳にしてきたでしょう? 往々にして、言葉は理解しているものの、そう思って行動を起こすまでにはなかなか行かないものですよね。しかしながら、あなた方もいろいろな経験を経て行くと、どちらに転んでもどうせやらなければならないのなら、「このピンチをチャンスに変えられないか?」という考え方をするようになります。既に、このような気概を持って、いつも困難に立ち向かっている人なら、そこに愛があるのなら、何も言うことはありません。でも、まだまだ、先ほど述べたような上司の言葉、態度、振る舞い等に自分の心身を傷つけられてばかりいる人ならば、この「ピンチはチャンス」という言葉は、その状況からあなたの心身を救い、乗り越えるためのトリガーとして機能させることができるということを知っていただきたいのです。

 例えば、仕事をしようとしない上司からの、ネグレクト、ハラスメント、ネガティブを受ける場合、「どうして、俺ばかりこんな酷い境遇に会うのか?」と思うことから、一つ上昇して、「将来もっと酷い状況や上司が現れる場合に備えて、このような状況を打破する対策を身につける経験をしてみよう。」と思い直してみるということです。こんな酷い環境(ピンチ)が貴重な練習の機会(チャンス)に早変わりです。「そんなに簡単にいくわけがない!」と反論の余地満載ですが、簡単に落ち込んだり、自信を無くしたり、無力感や絶望感に呵まれたりする前に、「なーに、何でも経験だ!」と口に出して、自分に言い聞かせてみてください。不思議なことに、「経験できることを楽しんでみるか!」という気持ちが芽生え、なんとなく立ち向かえる気になるものです。そう、口に出しましょう。「ピンチはチャンス!」「何でも経験だ!」と! ポジティブな言葉を口に出すと、自分や周囲までもそのような状況に向かってくれるようです。そして、しっかりやってさえいれば、その結果は必ず実を結びます。「言霊」といわれています。 信じなくてもいいですから、口に出してみてください。少なくとも、あなたは、簡単に、落ち込んだり、自信を無くしたり、無力感や絶望感に呵まれたりすることからは解放されているはずです。簡単で、しかも儲けものでしょ?

3 そのタイプに応じた接し方をしよう!

(1)仕事をしようとしない残念な上司への接し方

 残念な上司は、性格、能力、意識に問題がありますから、自分の興味がある範囲内のことで、しかもできる範囲のこと、そして自分の利益になること以外は、聞く耳を持たないし、あなた方が理解してもらおうと情熱を傾注したところで煙たがられるだけ、しかも正論を強調すればするほど、彼らは理解できないししたくないためにうざい感を増幅させ、やがては逆ギレしてあなた方の足下を掬う暴挙に出てしまいます。 当に、仕事をしようとしない残念な上司なのです。

 それを、ア 自分の仕事だという意識がない。イ 仕事をする気力がない。(したくない。)ウ 頭が悪くてするべきことが解らない。の3つに区分しました。あなた方が思っている残念な上司の要素や条件はもっともっといろいろとあるでしょうが、このような区分でもご容赦くださいね。

 さて、こんな残念な上司にどう接すればよいのでしょうか。まず、共通して思い描くことは、「あんな奴いなくなればいいのに!」、酷い場合は「死ねばいいのに!」(笑)でしょうが、それがなかなか難しいから影響を受けるのですよね!

 アの上司なら、㋐上司に何も知らせず言わせず自分たちで何もかもやっつけてしまう。㋑組織規則等において自分たちに課せられている業務をしっかり行い課されていない業務は上司の仕事としてクールに手を貸さない。両極端ですが、旗幟が鮮明で分りやすいでしょ? ㋐の場合は、更に自分たちだけでしっかり成果を出すことが望ましいですね。そうすれば、その上司の存在は必要なくなり、異動させられるか、業務指揮系統のチェーンから外されることになるでしょう。㋑の場合は、不本意ながら、仕事を失敗するか成果を低下させる必要があります。そうすれば、その責任を上司が取らされることになります。何回かやったら、やはり上司は、異動させられるか、業務指揮系統の鎖からは外されることになるでしょう。いずれにしても、その上司からの仕事上のストレスからは解放されますが、自分たちも残念な部下と思われないためにも上策としては㋐ですよね。 

 イの上司(別様でお話しする「仕事をしようにもできない上司」ではなく、楽をしたい、面倒なことをしたくない方々です。)も基本的にはアの㋐と㋑の対応に同じですが、㋐の場合は、「これはかなり簡単な仕事ですので自分たちで片付けておきます。」㋑の場合は、「これはかなり複雑で困難な仕事になりますので自分たちでまずなんとか取り組んでみます。」という、枕詞をつけておいて実行することが望ましいでしょう。成果の出し方と期待できる結果は同じです。

 さて、ウ 頭が悪くてするべきことが解らないという状態の上司の場合ですね。「これなら、御しやすい!」と思われたのではないですか? そうかもしれませんが、理解力が劣るので、彼がよく分らないうちに話や組織としての業務が進んでいくことが多く、これに焦りと怒りを感じていることが常態なので、理解力のなさを別の切り口からの不満としてストレスを浴びせかけることが往々にしてあります。では、こんな残念な上司にどう接すればよいのでしょうか。基本的には、どんな業務においても、うまく取り込むということです。どんな業務も、「これはかなり複雑で困難な仕事になりますが、皆で乗り切って成果を出せば将来が明るくなります。自分たちでまずなんとか方策を練ってきて報告しますので○○長にはご指導をお願いします。」と持出し、「このような企画を考えてきました。みんなこれなら良い成果が出せると同意してくれています。○○長の成果となります。何卒、御裁可をお願いします。」という、枕詞をつけておいて企画の決済をいただき完遂することが望ましいでしょう。成果を出して残念な上司の気分を良くすれば、残念な上司の状態は変わりませんが、ストレスをかけてくることは少なくなるはずです。見方を変えれば、貴方の思うとおりに仕事を進めて成果を出させてくれる貴方の協力者とも言えます。 

 ところで、アイウにおける対応の共通的な基盤があることに気付かれた方々もたくさん居られると思います。そうです。それは部下の誰かが中心となって部下全員一丸となって対応しているということです。誰かが足並みをそろえてくれなかった場合は、残念な上司への企てとして露見させられて反対に大憎悪に伴う爆弾ストレスとなって戻ってくることもあります。そうならないためには、そのような気心の合ったチームに誰かが中心となって作っておくか、もしくは、誰にも気付かれずに誰かの頭の中で対応策を練り上げて同僚を知らないうちに巻き込んでしまうことです。しかしながら、同僚だって、遅かれ早かれ気付くもので、問いただしてくるか、分っていて知らなかったことにするかになるでしょう。そうなった場合、本心を理解してもらう必要で出てくるでしょうね。やはり、前者の方が上策です。さて、その誰かってだれでしょうか。見つけてください。でも、貴方がその人になるときが来るかもしれませんね。頑張ってみることもありですよ。頑張っている貴方の姿を尊敬している人は必ずいるものです。

(2)仕事をしようにもできない残念な上司への接し方

 残念な上司は、性格、能力、意識に問題があるのだから、自分の興味がある範囲内のことで、しかもできる範囲のこと、そして自分の利益になること以外は、聞く耳を持たないし、理解してもらおうと情熱を傾注したところで煙たがられるだけ、しかも正論を強調すればするほど、うざい感を増幅し、やがては足下をすくわれる羽目になってしまいますと以前お話をしましたが、このタイプの方々は、部下に迷惑をかけるものの本質的には残念な上司の範疇にはいない人たちです。①他の何かに気を取られてやるべき仕事に手につかない!②不器用で仕事の要領が悪い。という方々なので、組織的には活躍させるために、人道的には救って上げるために、どちらかというと手を差し伸べてあげるべき人たちです。 「何故、部下が上司を助けるのか?」、「何故、そんな人が上司になったの?」というような不満や疑念はあるでしょうが、立派な素質を持っていている方がそうなってしまったという前提で思いやってみてください。

 まず、考えられるのは、その人を取り巻く環境のせいで、心身の状態が壊れそうになっており、①や②の状態になってしまったということです。どうやって救うかですが!基本的には、別のところでも話したとおり、職員を苦痛から解放して上げられるのは、その権限を有している上司です。でも、そもそも残念な上司が上にいるから改善されないわけですからそこに助けを求めるのは無理ですよね。それでも、部下皆で話を聞き、様子を観察して、原因となる事実を把握し、解決策について、その方の家族(配偶者、父母等)と相談をすることはできます。解決の方策を見つけたら、その解決策を実行できる権限を持った部署やその上司、更に、直属の更に上の上司に相談に上がって、解決策の実行をお願いしましょう。もし、関係部署の上司や直属の上司ラインが残念な人達ならば、解決のための機関であるコンプライアンス委員会やハラスメント委員会等に相談に行きましょう。心が折れている上司がそれを拒んで自ら身を引いたとしても、また次に配置される方が二の舞になるだけです。攻撃してくる更に上の残念な上司の方が問題なのですから、それらを排除すべきです。半沢直樹シリーズでも分るでしょ!上司のことなのだから、部下には関係ないと思っているかもしれませんが、その上司は部下を庇って、一身でストレスを受け止めているのかもしれません。もし、その上司ではなかったら、部下であるあなた方に直接、攻撃が及んでいたのかもしれませんよ。人ごとではないのです。 

 次に、考えられるのは、何か、仕事の他の悩みがあるのかもしれないと言うことです。普通、上司は、様々な悩みやストレスを抱えているものですが、こんな状態になると言うことはかなり深刻な状況ですね。人は、大きな悩み、考えても結論が出ない悩み、堂々巡りしてしまう悩み等、深刻なものが3つもあると耐えられなくなると経験上言えます。ここでは、自傷行為までは至ってないということにしても、仕事上のストレスの他にもう一つ大きな悩みがあると思われます。よく耳にしたことは、借財問題(本人が一番ですが、家族が知らないところで作っていることがあります。)、家庭問題(夫婦関係の他に父母との諍いや子供問題もあります。)、異性問題(所謂、不倫とかいわれるもので、本人の場合が多いですが配偶者に起きていることもあります。)等ですね。これらの悩みやその原因となっている事実を口にすることは、本人にとっては大変恥ずかしく勇気がいることで、本当に信頼を持たれている人になら話してくれるかもしれませんが、そうでない人が誠意を持ってあたったとしても殆ど無理でしょう。でも、これらが分らないことには対処の方策が見つかりません。本人の胸の奥にしまってあることですから、周囲のひとから正確に聞き出すことも困難です。では、どうしましょうか? 悩みの存在とその理由をぼんやりと把握できた段階で、専門医やメンタルスケアマネージャー等にお願いすることです。本人に伺わせる前に、可能な限り、助けたい旨とその理由を先生方にお話しして、その上で本人とお話ししていただき、そこで、ゆっくりと事実や理由を聞き出していただいて、対処方法を教えていただく。そして、対応方法の具体化を考察して、本人にそれとなく助言して上げること、そして周囲でできることは実行することが重要です。 

 「なんだ。そんなことか。だれでも知っている。」と嘯かれるかもしれませんが、その方の周囲にその人にとって信頼できる人が一人でも居て、苦しさを聞いてくれたのならこんな事態にはなっていなかったことに気付いてください。そうなのです。一番の解決方法は、そのような「仕事には厳しいが、人には温かく優しい!」組織を皆で作っておくことなのです。そうすれば、残念な上司に過大なストレスをかけられた同僚も救うことができるのです。それができていなかったのです。貴方が組織のリーダーとなる前に、そんな組織を作ることができる人になってくださいね。

(3)気の毒な珍獣たちも許して!

 最初に,残念な上司達の生息携帯別のタイプについてほんの少し触れましたよね。典型的なものとして、①上しか見てないヒラメ、②虎の威を借りて叫んでばかりのフォックスピッツ、③意識してそうしているのか意識しなくてそうなのか分らないけれど仕事をしないことを優先する怠け者等がいますと。どれも、ネーミングから想像できるとおりです。恐らく、皆さんの想像で間違っていませんよ。ところが、この3者に共通しているものがありますが。お気づきですか。上司の受けばかりを気にして、上司に気に入られることを行動の原動力とするヒラメもしかり、上司の言うことを何も考えずに金科玉条のものとしてその使い走りを買って出て騒ぎ立ててまわるフォックスピッツもしかり、よくそんなに仕事をさぼって良心の呵責に呵まれないものだなとあきれるほど仕事をしない怠け者もしかりです。

 それは、彼らは、無意識のうちに「自分はそれほど仕事に対する識能はないし、それを向上されるための努力も苦手である。」ということを知っているということです。なので、職場の中で、自分の地位や立場を向上させるためには、知らず知らずのうちにヒラメかフォックスピッツになることを選んでしまい、そして、ある地位まで到達し、もうこれ以上は望めないし望まないと達観して怠け者になってしまったのです。だから、残念な上司なのだけれども、ある意味、気の毒な生き物なのですよ。珍獣だと思って可愛がって上げてください。能力や素質に恵まれている皆さんから見ると許せない存在に思えるでしょうが、その人格や性格を追求して直させようとしても、無駄だし自分が疲れるだけですよ。なにせ、彼らは、無意識の確信犯なのですから、指摘されたところで、直せないのですから、これぐらいのところで許して上げて、「憎むことでいつまでもあいつに縛られないで~」くださいね。(中島みゆきはすごいです!)仕事上の問題があるのなら、これまでもお話しした対応方法で乗り切ってくださいね。もし、対人関係だけの問題ならば、こんなところでいいのではありませんか?

 とはいえ、ヒラメかフォックスピッツはあからさまだから周囲が認める残念な珍獣ですけど、自分のパソコン画面が室内の配置から周囲から見ないことをいいことに一日中ネットを見て時間を潰しているずる賢い怠け者をみると会社や市民のためにこんな珍獣を飼っていていいのだろうかと思いますよね。でも、『罰は神の御業にて人の範疇に在らず!』で諦めまましょう。

4 ちょっとした参考のご紹介

(1)読書、感動的ドキュメント鑑賞のお勧め

 あなたが、一生懸命に仕事に頑張っていても、残念な上司や周囲のお陰で、仕事がスムーズに捗らなかったり、失敗させられたり、その責任を取らされたり、成果の上前をはねられたりすることはありますよね。或いは、とてつもなく大きく困難な仕事とその責任を押しつけられたりすることもあるでしょう。反対にやりがいのない小さな仕事ばかりをさせられることもあるでしょう。そんな仕事でも、周囲の理解と協力を得ながら、誇りと自信をもって全身全霊を打ち込むことができ、充実感を得られるならば、健全でいられるのですが、そうでないときが結構ありますよね。残念な上司や周囲との衝突が多くて、仕事が進まず、将来に不安しか見えないようなこともあるでしょう。「何故、みんな力を出し惜しみするのか。何故、俺ばかりがこのような境遇を経験するのか。何故、俺はついてないのか。俺はこのままでよいのか。」なんて、いろいろネガティブ思考が連鎖して落ち込むこともありますよね。そんなとき時にこのお勧めなのです。

 以前からでも、その時でも良いので、ちょっと気になっていた、気になった・目についた書物や映画やドキュメントを見てください。きっと、あなたへの応援メッセージが満載ですから! 私の経験から絶対にそうなります。もっともっと、桁違いの悲惨さの中で耐え抜いている人達がおられることや、決してくじけることなく目標達成に向い桁違いの努力を重ねている方々がおられることを思い知らされます。嗚咽と慟哭の落涙の中で、不甲斐ない自分を大いに反省させられたり、それと同時にこれらの中から、自分が思っていること行っていることは決して間違っていない確信と突き進む勇気をいただいていることが多々あります。多分、気付かされているのだと思います。今時の言い方だとシンクロニシティーが起きていると言うことでしょうか。愛から発生する思いや行動は間違っていないから、くじけそうになった人には、「間違っていないよ。そのまま頑張って」!と言う応援を解りやすく届けていただいているのではないでしょうか。言い過ぎですかね。でも、皆さんも、私心なく、利他の思いから頑張っている人を見たら、応援したくなるでしょう。少し成長すると、新聞の番組欄や広告を見て、これは見た方がいいのだろうと思った時に、瞬間的に、要反省メッセージか応援メッセージのどちらか解るようになりますよ。 

(2)メモ帳活用のお勧め

 皆さんは、手帳タイプやスマホタイプのいずれかのダイヤリーを持っているでしょ? そして、そこには、大切な予定や重要な情報が記載されていると思います。更に別のダイヤリー型のメモ帳を持っていると便利です。やや大きめなダイヤリーで、予定表の他に十分な記述スペースがあればそれでもかまいません。「何に使うのかって?」 それをお話しします。

 それは、そのスペースに、その日、その時に、感動や感心した事象や事件の概要とその理由、そしてうまく行かなかったり、悔しい思いをしたり、これは許されないのでは?と思った事象や事件の概要とその理由、そしてあるべき姿の方向について、記述するために使うのです。前者も後者も、その後の業務の参考となるということはすぐに納得できると思いますが。後者をすることは、更に+αを得ることができます。

 一つ目は、ストレス防止の一助になるということです。その日・その時に記述することで、その後に持ち越すストレスが小さくなります。あるべき方向を見つけたということは、今後の向かうべき目標や指針ができたということです。「どうすべきだったのか?」「これからどうしよう?」などというつまらない堂々巡りフラストレーションからは抜け出すことができたということです。自分の落ち度があった場合、これを正しく認識するのは、その時は、やや辛いかもしれんが、自分だけのメモですから誰かに恥ずかしい思いをするわけでもなく今後への投資と思えば楽な気持ちで分析できるでしょう。そしてそれを、今後同じ轍を踏むことのないために、更に成長するために、参考とすることができるのです。 

 二つ目は、将来の万一上司との間で心身をかけた勝負をしなければならない時の備えとして活用できるということです。後になって、思い出すことは、記憶がかなり不安定になるため自信を持った主張をするためには不十分です。しかし、この記述があると、その時の事実や事象は明確に再現され、そこに存在する不都合な事、即ち、その法的、道徳的な抵触事項とその理由及びそして償うべき事項の論拠とできるのです。そして、時間のある時にこれらを整理して、いつでも活用できるペーパーにしておくことをお勧めします。それは、将来、自分だけではなく組織を救うために活用できるかもしれないのです。これらを使用することがなければそれで幸いなのであり、将来自分が読み直して思い出し笑いをできるようであれば成長したという証ということです。お勧めです。

(3)AI・RPA化への対応準備

 さて、そんな気の毒な珍獣や残念な上司達の今後が気になりますよね。このまま、世の中をのうのうと掻い潜っていけるのでしょうか? そうだとすると少々腹立たしくなりますが、そうでは無いような気がしています。団塊の世代やそのジュニア達が甘えてきた護送船団方式経済成長はとっくに終焉を迎え、グローバル化とういう名の下に隠れたアメリカンスタンダードというほんの一握りだけが超富豪になる仕組みの中では、雇用される人間は少ないに超したことはないのです。その仕組みがこれから吹き荒れるAI(Artificial Intelligence)・PPA(Robotic Process Automation)化の波で確固たるものとして現れるでしょう。この中では、これまではやってこられた気の毒な方々はAI達に変わられるでしょうし、そのポスト自体が必要性を無くし消滅するかもしれません。そんな時代になって行くのなら、残念な上司達がいなくなることは望ましいとしても、自分たちもどのように振る舞えば生き残っていけるのか心配になりますよね。よく巷のネット上で言及されていることは、実務能力が高い人になること、AI・RPAを管理できる人になること、仕事をクリエイトできる人になること等が代表的なものだと思います。どうですか? 大丈夫ですか? 残念な上司達は絶対に生き残れませんよね。だって能力が高くないのですから。 

 では貴方たちはいかがですか?「無理かも?」っていう声が聞こえそうです。でも、彼らと違って努力を続けられる時間はあります。相続(継続すること)は秘中の秘だそうです。だから、今のうちから準備をするとういうのが一つ目の対策になりますよ。当たり前すぎとお叱りをうけるかもしれませんが、斜に構えたまま無作為を続けて結局何もできずに心にシコリを残してしまうことは避けたいものですよね。もう一つは、このアメリカンスタンダードの世界から抜け出して、全く違った価値観体系の中で生きていくということが有りかもしれません。拝金・唯物主義、平等・画一等とは全く違った価値観、つまり信仰・心・文化主義、チャンス平等・個性重視等を大切にする世界を自分なりに作って、そのような方達と親交し、アメリカンスタンダードの世界とも肩を並べて交流するというものです。個のレベルを高くしなければならない気もしますが、基本は周囲の人や社会とは何か違った事柄を大切にしていることだと思います。お金中心の社会はもう飽きたのではありませんか?

5 肖りたい素晴らしい上司とは!

 残念な上司とは真反対で肖りたい素晴らしい上司とはどんなかたでしょうか? それは、次のような性質を持っておられる方です。

(1)部下を大切に思い、よく把握している。
  〇 大凡の性格、得意なこと、不得意なこと
  〇 仕事ぶりや見えにくいところの頑張り
  〇 仕事のうまく行っているところ、うまくいってないところ。
  〇 家族の抱えている問題等

(2)仕事のことをよく知っている。

(3)仕事のことを常に深く広くしっかりと考えている。
  〇 うまく行っているところ、問題のあるところ
  〇 組織及び部署の存在意義 〇 仕事の目的及び当面の目標
  〇 仕事に応じた部署の編成 〇 企図方針を示すべき時期と内容

(4)明確に企図・方針を明示する。
  〇 状況に応じて、熟慮断行、即断即決を使い分ける。
  〇 平易な表現と言葉を用いてはっきりと部下に伝える。
  〇 部下の能力・性格に合致した業務の付与及び指導を行う。

(5)企図・方針に沿って常に自ら質実剛健にて行動する。
  〇 有言実行 〇 知行合一 〇 率先垂範

(6)成果は部下の手柄にする。

(7)部下の業績は信賞必罰を堅持して公正に評価する。
  〇 頑張っている部下には感謝し褒める。
  〇 よい成果を出した人は表彰する。
  〇 うまく行かなかった人には悪意がない限り批難をせず、その人
   に合致した対策について指導を実施する。
  〇 法律や倫理違反等の良くないことをした部下は厳正に処罰する。

(8)清廉高潔な品性を有している。
  〇 静かに揺るがない価値観等を持っている。
   ・人生観、死生観 ・真善美の本質
  〇 座右の銘、愛読書がある。
  〇 人知れず教養及び人格向上に努めている。
  〇 抽斗が広深であり、孔子、孟子、佐藤一斎等の格言が多数
  〇 温厚、明朗・快活だが、威厳がある。
  〇 立ち居・振る舞い及び身だしなみ(髪、眉毛、髭、鼻毛、爪  
   等)が端正だが端正突っ込める隙を常時保持
  〇 服装(色使い、プレス、靴磨き)が端正 〇 男前

(9)社交的である。
  〇 アフターファイブの付合いは程々に良い。
    (だからといって部下に対する無理強いは絶対にしない。)
  〇 趣味が数個ある。そのうち一つ以上がハイレベル
  〇 不得意なことが一つ以上ある。〇 異性には優しく気を遣う。
  〇 来るもの拒まず、去る者追わず。

 こんな上司になれたらいいと、自分が初めから思っていたわけではなくて、私が生涯で出会えた一番素晴らしい上司がこういう方だったっていうことです。 嘘かと思うかもしれないけれども本当なのです。たったお一人でもそういう上司に仕えることができたということは、幸せなことでしょう! 

タイトルとURLをコピーしました