昨日、私が定期的に治療を受けているM歯科クリニックの歯科衛生士さんが、コロナ後の久々の治療の帰り際に、「近々仕事を辞めて、暫くの間静養します。」と話してくださいました。
そのF歯科衛生士さんは、そのクリニックの中で私にとっては一番丁寧且つ熱心に上手な処置をしてくださる方でしたので大変残念な気持ちになりました。加えて、「職場の環境から適応障害を発症し投薬治療を受けるようになったのですが、なかなか良くならないのでM歯科クリニックを辞め服薬を止めることができるまで静養することにしました。」という理由を聞き更に悲しい気持ちになりました。
昨年の初秋、F歯科衛生士さんに治療をしていただいた折、「私、仕事は患者さんや自分の為にも真剣にしなくてはならないと思っています。なので、仕事中にしばしば居眠りをするような後輩を見過ごすことができずにやや厳しい口調で指導をしてしまいました。でも、なかなか響いてくれないのです。私が間違っているのでしょうか?どう思われますか?」というような話をされて、私は、「仕事にはそもそもの目的があります。そして、その目的を達成するためにそれぞれの組織や職員は課されている役割を誠実に果たす責務があります。その対価が報酬です。なので『仕事に対しては、自分に厳しく、部下にも厳しく、(仕事を離れたら)人には優しく』をモットーに臨むべきです。だから、仕事中のしばしばの居眠りは病気でない限り誠実に責務を果たしているとは言えませんので、話し方さえ間違えなければ、先輩の指導は適切だと思いますよ。私も、組織の中にいた時はそうしてきました。」「もし、状況が改善されないのなら、人事権を有する組織の長、つまり院長か事務長の奥さんに話を聞いて頂き善処していただくことが必要でしょうね。」と話をしたのですが、それ以降昨日までお会いできずにいたので、昨日、「仕事を辞め静養します。」という話を聞き、『しまった!』という思いがしたのです。
人は、気が落ち込み心を病むようになることが時折ありますが、その原因となる事象をどのくらい抱えていることが問題となります。自分で解決が困難な大きな事象ならば、経験上、二つ以上あれば重症、三つ以上あれば危険な症状となり得ることを知っています。
F歯科衛生士さんがどれくらいの事象を抱えていたのかを知る由もありませんが、適応障害に伴う服薬をするようになっているということは、自分で解決が困難な事象が一つだけではないのかもしれません。
だから、F歯科衛生士さんが、経済的損害を発生させてもその職場を離れ静養することは解決困難な事象を自ら一つ取り除くことであり、大正解の対応だと思います。
でも、「職場環境を変えることができれば、F歯科衛生士さんの経済的損害を発生させることなく困難な事象を取り除くことができたのではないのか?」という考え方もあると思います。
私が今のM歯科クリニックさんにお世話になることにしたのは、それまで時折治療をしていただいていたU歯科クリニックで処置していただいた虫歯の詰め物が1年もしない間に2回も外れ、急な申し込みではありますが、長い時間不愛想に待たされたあげく不適当な処置を施されたため、『この間に大先生が退かれたためかもしれないが、大先生が有した実力や名声を自分たちにもあると勘違いしている新米歯科医や古い医療事務員の処置や対応が続くのなら、もうこれ以上治療していただきたくない。』と思い、いろんな情報を得て、車で約15分の所にM歯科クリニックを見つけたからでした。
M歯科クリニックさんは、皆さんのご挨拶や声掛けも明るく、歯科衛生士さんや先生の説明も丁寧で分かりやすいので、なかにはちょっとばかり心使いが緩慢な歯科衛生士さんもおられますが、心地良い治療をしていただいているところですので、F歯科衛生士さんのような方がそうなってしまったことに残念な気がしたのです。
F歯科衛生士さんは、先生方々にお話しせずに一人で悩みを抱えてきたのかもしれません。そうであれば、『先生方は気づいてくださればよかったのだが。』と思うところにとどまりますが、もし、先生方がお話を聞いていたのにも関わらず、善処策を採っていない、即ち、『状況をよく把握した後、適切に判断し、公正に対処する。』ことを忘れられているのならば、刑法的にも民法的にも責任は追及されないものの、管理者として倫理道徳上の懸念を追及されるかもしれないと思われます。
昨年、陸上自衛隊の元女性自衛官がセクハラ・パワハラを実名で告訴したため、世論や上層部の知るところとなり、事件が明るみに出て、それぞれの関係者が厳しく当然な処分をされることとなりました。彼女が、現役中にその訴えを聞いた上司(特に中隊長)が真剣に耳を傾け、状況をよく把握して、適切に判断し、公正に対処していたならば、加害者の行動も罪の重さもエスカレートすることはなかったと思われます。この事件は、犯罪ですので加害者は法的に処罰を受け賠償を行うことを強要されますが、彼女は強靭な精神的を持ち合わせているとはいえ、受けた精神的苦痛は消えないでしょう。
F歯科衛生士さんの「患者さんや病院の為に行ったことが報われないどころか反対されてしまった。」という悲しみも小さくはありません。
是非とも、組織の状況をよく把握しなおしてみてください。そして判断し、必要なら公正な処置と将来に向けた対策を確立し試行してみてください。
仕事のため、組織のために正義を貫こうとした人を軽んじたり無視したり、あるいは、正義の人を疎ましく目障りに感じる人の言を重んじたり、最悪の場合、悪行や不正義を目にして見なかったことにするようであれば、やがてはU歯科クリニックや先述の陸上自衛隊のようになってしまうことは必定です。
タイミングは間近に来るため、M歯科クリニックから私の足が遠のくようにならないためにも、老婆心(老爺心?)ながら、ご報告致し、一考をご案内申し上げる次第です。
という手紙を書きました。反応をしていただけるでしょうかね?
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