誇りをもとう(その2)

 去る11月8日の夜、藤井厳喜先生と林健良先生がご尽力してくださった「ONE TAIWANシンポジウム」が開催されました。会場には3千人以上の方々が全国から参集され、LIVE配信でも私を含め多くの方々が拝聴いたしました。

 主な主張は、「来年の台湾総統選挙では民進党を支持する。」「日本版の台湾関係法を整備するよう要望する。」「日台の防衛連携を強化するよう要望する。」等というものでした。

 すべての講演やスピーチは、同意できるあるいは納得できるすばらしいものでしたが、『一つだけ加えていただければ有難いのに!』と思ったことがありました。それは、「リップンチェシン」についてよく語ってくださるお二人からすれば言わずもがなのことなのでシンポジウムでは取り上げなかったのだろうと思うのですが、「日本人としての愛と誇りと自信を取り戻せ!」と訴えて欲しかったということです。

 スピーチの中には、「抑止力は意志と能力があってこそ機能する。」「だから、日台が協力してCHINAに対する防衛の意志と能力を構築しよう。」という趣旨のことが再三出てきました。絶対にその通りで、有志が一生懸命にその必要性を訴えることが極めて重要であることも十分理解しています。しかしながら、国民の意識がかけ離れていては『実態を伴わないものである。』と足元を見透かされそうで心配なのです。

 昨年末に、「世界各国の国防意識を調査・比較しているプロジェクト「世界価値観調査」が2017~20年に「もし戦争が起こったら国のために戦うか」という設問をしたところ、世界79カ国中「はい」という答えが最も多かったのはベトナムで96.4パーセント。85パーセントを超えるのは10カ国もあり、59カ国は「はい」が半数以上であったのに対し、日本はというと、「はい」が13.2パーセントと79カ国中最低、「いいえ」は48.6パーセントで6位、「分からない」と態度をはっきりさせない答えも38.1パーセントと世界で最も多かった。」という記事を目にしました。ウクライナ戦争が始まっている最中でもそうなのですから、1年後の今もさほど変わりはないでしょう。

 『国の為に自分の命を危うくするかもしれないようなことは出来ない。』と日本人は思っているということです。いざという時はCHINAに対し日台一体となって対処しなければならないというのに台湾の皆さんに対して大変申し訳ないという気がしております。

 GHQ占領下のNHKラジオ「真相はこうだ」で洗脳され、戦後の歪められた言語空間と教育の中にどっぷりとつかって生きてこなければならなかった戦中時の幼年者や所謂団塊の世代が、日本に対する誇りを持つことができなくなってしまったことは止むを得なかったことかもしれません。日本を復興してくださった戦中派の方々の心底には、国土、郷土、家族等を大切にする気持ち(愛)と、その中で培ってきた価値観をベースとして繋いできた日本の歴史、文化、伝統、習慣等への誇りと自信がありましたが、その後の世代の方々が、日本を指導するようになり、それらの大切なものが人々の中から消失してしまったような気がします。これらを取り戻すためには、私もそうですが、断層の世代の方たちの責任は大きいと思います。

 人は自分の命よりも大切なものにしか命をかけることはできないのは当然のことです。ですから、日本という国を守るという日本人の意思が実態を持つためには、国の本質である国土、郷土、家族、価値観、歴史、文化、伝統、習慣等は自分の命より大切なものなのだと日本人が認識する必要があるのです。

 そのために、今の日本人にこれらに対する愛と誇りと自信を取り戻させる情報提供や教育が必要なのです。

 大東亜戦争はすべて正しかったということを言うつもりはありませんが、そこに全身全霊を捧げた方たちの苦悩を理解し名誉を回復させる必要が先ずあります。そして、2700年も続いている世界でも稀有な歴史、文化、伝統、習慣を持ち自然に感謝して誠実に生きる素晴らしい人間性についてしっかりと確認させることができれば、日本人が育んできた大切な価値観と日本人であることの誇りと自信をもたせることできと思います。

 これらを通して、国土、郷土、家庭等を大切に思う気持ち(愛)が確固としたものとなり、国を守る意思が実態を持つことになると思います。

 日本の歴史や文化の素晴らしさを再認識するための情報発信は最近見られるようになりましたが、そこから、日本人としての誇りと自信を取り戻し、やがて、日本人としての国土、郷土、家庭等を守る気持ちを強くするための取り組みは未だ不十分だと思われるのです。

 だから、断層世代の代表的有識者の皆様から、「日本人としての愛と誇りと自信を取り戻せ!」と日本人に呼びかけ、不甲斐ない為政者にその施策の確立と実効を要求して欲しいと思ったのです。

 でも、私が不認識なだけで、きっと既に始めてくださっているのでしょうね。

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